GUTS
Shaniqwa Jarvis Rare ここしばらくモノクロの写真展が続いたせいか、「カラーは撮らないんですか?」と質問されることが少なくない。実際は昔からモノクロと並行してカラーも撮影していて、特に90年代はカラー作品の方が多かったくらいだ。この、モノクロかカラーかという選択時において、自分の写真に対しては取り立てて両者の区別はないと語ってきた。だが、やはり被写体によっては「これはカラーで」と思うものがある。言うに及ばす、その吸引力が色彩によるものが大きいからだ。モノクロはイメージを深く込められるのに対して、カラー写真には自分の趣味嗜好がはからずも明確に出るように思う。だからこそなのか、モノクロの作品を撮り続けている時でも、完全にカラーを手放すことができない。この写真集に収められているのは2012年終わりから2016年初めに撮影したものである。2012年から2015年はモノクロ作品の発表が頭にあったので、カラーは発表のあてもなく、現像が終わるとそのままストックしておくという状態になっていた。それをまとめ、改めて見ているうちになんとか形にしたいと考えるようになった。そこでモノクロの写真展を開催した際、「セレクト中の作品を見せる」という試みでカラーのL判をショーケースの内に並べたことがある。それがホウキ氏の眼に触れ、この写真集のきっかけになった。好きな時に好きなモノを撮る―というのが私の写真のかたちだと、何十年も言い続けてきたが、この作品集はその極みとも言える。街を歩いていて、必ず目にとまる看板やポスター、古びた店の風情、マネキンや人形、大きな建築物に寄り添い、隠れ、通り過ぎる人の記憶の奥底に沈みゆく、ただそこにあるだけの動かぬモノたち。それらが長年飽きることない被写体として在り続ける。もしかしたら、日常はこのモノたちによって輪郭を保っているのではないだろうか。存在(Sein)とはその輪郭を指す名称なのかもしれない。
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